古風な組曲 (作品80)

https://www.youtube.com/watch?v=hUxgpYE0dLI

シュニトケ:『古風な組曲』作品80 (1972)
Schnittke: Suite in the Old Style, Op. 80

 アルフレート・シュニトケ(1934-1998)は20世紀ロシアの作曲家ですが、両親は共にドイツ系で父親はユダヤ人でした。また幼年期に父親の仕事の関係でウィーンに移住し、そこで音楽教育を受けた事が彼の後の音楽に大きな影響を与えました。シュニトケはモスクワ音楽院で作曲を学びそこで教鞭も執りますが、彼の作風はロシア的では全くなく、「折衷主義」すなわちいろいろなスタイルを混ぜて取り入れる手法によって知られています。シュニトケは多作で、多くの映像の為の音楽の作曲も仕事としました。また幾人かの著名なソビエト亡命音楽家たちによってその名が次第に西側に知られるようになりましたが、ソ連当局に彼の音楽は好意的に受け容れられず、晩年は頻発する脳卒中に伴う健康状態の悪化とともにドイツに移住します。そして1998年に63歳で没しています。

 『古風な組曲』はシュニトケの作品の中では彼の前衛的な作品群とは対極に位置するもので、様々な映像の為に作られた五つの音楽を各楽章として全体が構成されています。「パストラール」「バレー」「メヌエット」「フーガ」「パントマイム」という各楽章名は古風で、音楽のスタイルも擬バロック的ですが、そこに敢え現代的なスパイスを加え、シュニトケらしい風刺の効いた作品となっています。