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バルトーク：ルーマニア民俗舞曲Bela Bartok: Romanian Folks Dances, Sz. 56
バルトーク（1881-1945）はハンガリー出身の20世期を代表する作曲家の一人です。幼少期から音楽の才能を現し、ピアニストとしても活躍しました。バルトークの功績は作曲家として世に残した数々の作品に留まらず、長年に亘りハンガリー、ルーマニアなどの中東欧の民謡採集を行い、これらを音楽の中に取り入れた事です。
バルトークの生きた時代、ハンガリーは激動の中にありました。当時の統治国であったオーストリア=ハンガリー帝国はフェルディナンド大公の暗殺を機にセルビアに宣戦布告し、第一次世界大戦の発端となりました。また第一次大戦後は大恐慌があり、ナチス・ドイツとの関係を深めていきます。ナチス・ドイツやファシズムに激しい嫌悪感を抱いていたバルトークは1940年に祖国が独日伊三国同盟に加わると、亡命してアメリカ・ニューヨークに渡ります。しかし最晩年のバルトークは異国の慣れない土地で自らの音楽が思うように受け容れられない中、白血病で1945年に亡くなっています。
６つの舞曲はトランシルバニア地方に伝わりバルトークがエジソンの録音機を用いて採集した旋律を伴奏付けしたもので、元の旋律はそのままの形を留めています。バルトークの生きた時代は西洋音楽が長調と短調による和声システムに飽き足らなくなり、非西洋文化圏の音楽も積極的に模索され始めていた時代でした。バルトークは民謡の採集の中でギリシャ旋法、教会旋法や五音階による旋律、自由で変化に富むリズムを発見し、これらを糧にして新しい音楽作りに取り組みました。