カンタータ『心と口と行いと生活で』BWV147より「主よ、人の望みの喜びよ」(マイラ・ヘス編)

J. S. バッハ:カンタータ『心と口と行いと生活で』BWV147より「主よ、人の望みの喜びよ」(マイラ・ヘス編) (1723/1926)
J. S. Bach: “Jesu, Joy of Man’s Desiring” from Cantata “Heart and Mouth and Deed and Life,” BWV 147 (arr. Myra Hess)

 この曲は全2部10曲から成るJ. S. バッハ(1685-1750)作曲:カンタータBWV147 『心と口と行いと生活で』の各部の終曲(第6曲、第10曲)に置かれたコラール(ルター派聖歌)をイギリスのピアニスト、マイラ・ヘス(1890-1965)が1926年にピアノ用に編曲したものです。

 原曲のコラールの作曲年は1723年。この年はバッハがライプチヒのトーマスカントールに就任した年で、バッハは就任すると直ぐに毎週日曜日に行われる礼拝の為のカンタータを作曲するよう求められました。カンタータ『心と口と行いと生活で』BWV147は聖母の訪問祭の為に作曲されたものですが、以前にキリスト降誕節の為に作曲していたものを改変したものです。聖母の訪問祭は、受胎告知を受けた聖母マリアが洗礼者ヨハネを身篭ったエリーザベトを訪問するルカ福音書のエピソードに沿っており、キリスト降誕とも関係しています。この事がクリスマスの時期にこの曲が頻繁に取り上げられる理由となっています。

 また曲名「主よ、人の望みの喜びよ」はバッハがコラールのテキストに使用したマルティン・ヤヌス(1620-1682)の詩をイギリスの詩人、ロバート・ブリッジス(1844-1930) が自由に翻訳したとされるもの—”Jesu, Joy of Man’s Desiring”—の和訳である為、ドイツ語原題”Jesus bleibet meine Freude”とは少々隔たりがあります。(大村恵美子氏の和訳は「イエスわが喜び」です。)

主は われに います

主は われに います

わが 心の 主

悲しめる ときの

友なる わが イエス

主は われを 愛し

その 身を 賜いぬ

イエス 君の もと

われは 離れじ

(マルティン・ヤーン「イエス、わが魂の喜び」第6節)

イエス わが 喜び

イエス わが 喜び

心の なぐさめ

悩み しずめたもう

いのちの 力

かがやける 光

とうとき わが 宝

イエス 君の もと

われは 離れじ

(同上第16節)

(訳:大村恵美子)